日課のウォーキングも残り500メートル。左側の水田の中から子猫の微かな声がした。それは小さな声で、かなりの距離(10mくらいは)があると思われた。
季節は7月。稲は十分に伸びて茂っていた。先程耳にした小さな声の方向を頼りに、しゃがんで稲の列の間を1本ずつ覗き込んで行った。でも見つからない。いないよ!じゃ~もう一度と立ち上がった。
とその時、また子猫の声が・・したよね・・くらいに微かに耳に届いた。あれぇ、どの辺りかな?と見当を付けてると、今度はもう少し大きなはっきりした声で。
えええ~~~、何と足元にいるではないか。茶色の猫が。ナニ?最初からここにいたの?だったら、もっと大きな声で鳴けばいいのに。
「おれっち貧乏だけど・・・来る?」と聞いたら、「もちろんだよ」と快諾を得て、めでたく契約成立と。
その場からの帰り道は、絶対に離れないぞとぴったり後ろをついて来た。長い尻尾をピンと立てて、一生懸命走って着いて来る子猫を見ると、強い決意が感じられ胸が熱くなった。だって、こんなに人馴れした子猫が、ポツンと田んぼに捨てられ、どんなに寂しく恐ろしかったかと思うと・・。
段ボール箱の仮説住宅完成。濡れ縁の上においた。強風でなければ、テラスで雨は防げるから暫く我慢してね。 |
7月の猛暑の時期。チャラは自転車のかごが涼くて昼寝には最高と。 (1993/07) |
子猫は遊びの天才。何へでも興味を示す。 (1993/07) |
外周フェンスの上をこちらに歩いて来るチャラ。400mm望遠で狙う。 (1993/07) |
チャラは目の前の道路で轢かれて死んでしまいました。1日に10台も通らないこんな道で。
チャラにとっても、私にとっても、たった3週間だけの幸せでした。”すまない”と何度心に叫んだことか。守ってやれなくてごめんよ、チャラ。
この時に、猫はある程度の大きさになるまでは室内飼いにしようと心に決めました。
ボス(C02)は、ゴルフ場入口の山林の奥の方から出て来たのです。先に書いた[C01]とは対照的に、そこら中に響く大声で泣きながら、ウォーキングで通りかかった私に近寄って来た
。
第1印象は”うわぁ、きったねぇ~”。その汚れっぷりは、例えようもないほどのボロ雑巾。山林を長い間彷徨ってたらしく、痩せ衰えて少しふらついてたっけ。
流石に抱っこして帰るのは躊躇しましたよ。そこで、持ってたパンの切れ端を与えておいて、私だけ急いて戻ってから車で再確保に。段ボール箱に黒糖パン1個と一緒に入れて運んで、家で開けてみるとウ~ウ~と唸りながらかぶりついて放さなかった。空腹で辛かったんだねぇ~。
そしてこの汚らしい猫が、この後11年半もの間、私にとっては掛け替えのないパートナーになるのでした。
1993/11/17。 ブルは我が家に来るまでの道筋が異例中の異例。なんと、同じ集落に住む小学低学年の女の子が、自転車のカゴに何匹か載せて集落内を営業して回った・・と。
で、私の母と、その場に居合わせた母の友達が1匹ずつ貰ったという経緯。元々、私が子猫欲しいと母親に話していたから、丁度良いタイミングではあったのだが・・。
それにしても、最近の子は凄いね。生まれた飼い猫の子を、自分がきっちり里親探しをして責任を取る。しかも、それを自転車一台で貫徹してしまうあたりが只者ではないよ。
一方、目の色がブルーというだけで、”ブル”と名付けましたが・・何とも無責任な爺なのだ。
家族入会の記念写真 |
ブル、それは猫じゃらしじゃないよ。いい加減にしないとひどい目にあうぞ。 |
うわぁ・・両方とも熟睡、爆睡中だね。 |
ハイ、鏡像。線対称とも。 (1993/11) |
シンクロ形(1):仲良いじゃん。 |
シンクロ形(2) |
クロ(C03)は、いつの間にか裏庭のメンバーに加わっていました。年恰好と体格はボス(C02)とほぼ同じ。だから、ボスとのバトルでも互角でした。
想像すれば、彼の目的は食事だったのだろう。窓を開け放しても室内に入ることはなく、外で食べるといつの間にか消えていた。鳴き声さえ聞かない寡黙な猫だった。
今思うと、後に現れるシロ(CA01)と同じ立場だったのかも知れない。
体格が似てるので、いつも互角。 |
でも、クロは大人しい性格なんだよな~。♂or♀?覚えてないやぁ(^^; |
クロ!、こっち向いてぇ (1994/01) |